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プラモで科学しよう ”接着編”

2011.02.18 (Fri)
久しぶりのプラモで科学しよう
第5回は"接着"についてです。

毎度のことですが、細けぇことはいいn(ry
な方は一番下の面白くないボタンをどうぞ。

かなり長い期間、推敲というか
書き込み続けた記事なので
か〜〜〜〜〜〜〜〜なり長いです。
驚異の8000文字オーバーです。
ブログ始めてからの最長記事になります。
一気に読むと死ねるので
数日に分けて読むのをオススメします。




プラモを作るうえで避けて通れない接着です。
最近のガンプラは接着剤がいらないようになっていますが
接着剤を使わないなんてプラモじゃない!
という接着原理主義の人がお送りしますw

はっきり言って、接着は非常に難しい話です。
普段、なにげなく使っていますが
とっても化学的な話になります。
表面界面特性や表面エネルギー、ファンデルワールス力に
共有結合などなどなど。

頭痛くなりそうなのでプラモに関係あるところを
掻い摘んで紹介します。

プラモで使われる接着剤は大きく分けて2種類に分けられます。
一つはプラモ用接着剤といわれるものです。
スチロール樹脂用接着剤と瓶のどこかに書いてあるはずです。
合わせ面にたっぷり塗ってムニュ着したりするアレです。
これは溶着という方法で2つのものを接着しています。
こちらは接着剤というよりは溶剤と言ったほうがいいでしょう。

もう一つは瞬着やアルテコなどです。
これらは2つの合わせ面を違う物質でくっつけるものです。
こちらがいわゆる接着剤というものです。

これら2つの接着剤は接着メカニズムが全く違います。
それぞれに長所と短所がありますので
この特性を知っていれば適材適所で接着剤が選べます。

プラの接着したい面を考えます。


この二つの面を接触させるだけで接着できるといいのですが
なかなかそうは行きません。
何かしらの技術が必要になってきます。

この二つの面を接着する方法の一つが溶着です。
溶着とは接着する面の表面を
一度溶かして二つの面を合わせた後で
溶けた部分を固めることでくっつける方法です。



溶着では始めに表面を溶かす必要があります。
この方法の場合は表面が溶ければいいので
溶かす方法はなんでもかまいません。
金属系だとバーナーで炙って熱で溶かして接着しますね。
いわゆる溶接というやつです。
溶接の種類もいろいろありますが、ここでは置いておきます。
押し付けて擦り合わせて摩擦熱で溶かして溶接する方法もあります。

熱で溶かした場合には内部に残留応力が残ることがあります。
熱で変形していた部分が冷えて形が変わるために
発生する内部の力です。
この残留応力はなかなかくせものです。
破壊の原因になったりもします。

〜〜〜〜うんちく〜〜〜〜〜〜
代表例はあの有名なタイタニックですね。
あれは氷山にぶつかって壊れたのではなく、
氷山があるような冷たい海水に船体が浸かったことで
残留応力に耐え切れなくなって船体が真っ二つになりました。
じゃないと、ぶつかって船体が真っ二つになるなんて
力学的に考えられません。
この事件がきっかけになって
残留応力が広く知られるようになりました。
〜〜〜〜ここまで〜〜〜〜〜〜

プラモでも熱で表面を溶かして接着することは
理論的には可能です。
やったことないですが。
残留応力が発生した場合は
プラだと脆性材料なのでポッキリいくでしょうね。
見たことないですが。(いーかげん)

プラモではプラモ用接着剤で表面を溶かします。
プラモ用接着剤とはプラモを溶かす液です。
プラモの材料のポリスチレン(PS)というポリマーを
溶かすことが出来るものであればなんでも接着剤として使用できます。
溶かす力があまりにも強いととんでもないことになります。

溶かすことができれば何でも使えると言いましたが
それを応用しているのが流し込みタイプの接着剤ですね。
揮発が早いので大きなパーツ同士の接着には向きませんが
小さいパーツを接着するのには最適ですね。

流し込みの主成分はおそらくアセトンとかの有機溶媒でしょう。
アセトンが入っているかどうかは
硬化した瞬着を溶かすかどうかでわかります。
実験したことないですが、だれかやってみません?
平たく言うと、瞬着で付けた部分に流し込んだら
取れたってことになるんですが。

瞬着で接着した間違って付けたパーツを流し込みで外すとか
白化した部分を流し込みでなでて
リカバーするとかできるかもしれません。
塗膜がどうなるか考えたくもないですけれど。

ホームセンターで安く売っているラッカーシンナーは
PSを溶かすので流し込みの変わりに利用できます。
単価がかなり安くなりますよ。
もっとも、溶かす力は流し込み接着剤に比べて強いので
ちょっとでも余計なところにつくと
えらい目に会います。というか、会いました。
専用の流し込み接着剤があるのなら特に使う必要ありません。

ガンプラの関節などのABS樹脂で出来たパーツの場合は
PS用の接着剤では溶かすことができないので
ABSを溶かす溶剤のABS用接着剤が必要になります。
ABSとは(A)アクリロニトリル(B)ブタジエン(S)スチロール樹脂の
頭文字をとった呼称です。
Sのスチロールがスチレンですね。
が、バンダイの技術は世界一ィィィィなので
ABSのPSの比率を上げているみたいで
PS用接着剤でも少し溶けるので
わざわざABS用を買わなくてもなんとか接着できます。
合わせ目を消すのは結構大変ですけどね。

接着する面の話に戻ります。
溶かした表面同士を合わせて
溶けたPSが固まるまで保持すれば接着完了です。



溶着で接着すると接着した部分も元の材料と
基本的には同じ強度になります。
同じ材料ですからね。

実際は上の図のようにうまくいきません。



溶けた部分を合わせるのでやわらかい樹脂が表面にはみ出ます。
むにゅとかいわれる部分ですね。
溶剤で溶かして接着する場合には
このむにゅがないとヒケてしまいます。

最初の図のようにはみ出させないで接着すると



ヒケがでてしまいます。
なぜでしょうか。

固体を溶かすと溶ける前と後では体積が変わります。
一般には溶けると体積が大きくなります。
水は固体(氷)になると体積が大きくなりますが、
これは例外中の例外です。
水分子の極性がどうとかで説明できますが、
プラモとは関係ないので割愛します。
割愛ばっかりです。

合わせ目部分で溶けた状態(貼り合せてすぐ)でツライチの状態でも
固まると体積が減少するのでくぼんできます。
これが”ヒケ”になります。

さらに、プラを溶剤で溶かした場合には注意が必要です。



揮発性の溶剤で溶かしていますから時間と共に溶剤が蒸発します。
溶剤がなくなったところは穴が開いている”ス”になってしまいます。
実際は図のように大きな穴ではありませんが、
スが入ると体積が減少します。
これも”接着面のヒケ”と言われる状態です。
これは特に溶きパテで顕著に現れます。

揮発性の溶剤を使う限り、この現象はなくなりません。
よく接着したら3日は乾燥させろといいますが
溶剤が完全に蒸発した状態にするということになります。
乾燥が足りなくて内部に溶剤が残っていると
折角合わせ目をきれいにしてもその部分がヒケてしまいますね。
プラモ用接着剤を使ったときはしっかりと乾燥させましょう。
とか偉そうにいいながら、
接着時間を多く取らなかったために
接着後にヒケることが多々あります。

このヒケとスを最小にするためにも合わせ目から
できるだけ溶けた樹脂を押し出してむにゅが
沢山でるようにします。
接着面に溶けたプラが少なくなるので
ヒケも少なく強度も上がってきますよ。

流し込み接着剤を使う場合には
多くの場合むにゅとかすることはありません。
これは流し込み接着剤はプラの極表面だけを溶かすため、
溶けたプラがごくわずかで
むにゅしてもほとんどでてきませんし
スもわずかしかできないからだと思われます。



次に瞬間接着剤やアルテコとかでの接着です。

これは異種材料の接着に効果を発揮します。
上で説明したようにPS樹脂同士であれば
お互いを溶かして接着することができますが
一方しか溶かせない場合には接着できません。
プラとパテの組み合わせとか
レジンと金属の組み合わせとかですね。
熱で両方溶かしたとしても
収縮率が違うため、うまく接着できません。

こういう場合は2つの材料の間を
取り持つものをつかって接着します。
工業的には電子部品の半田付けなんかが代表例ですね。
ロウ付けと言います。



この場合は2つの材料の間に別の材質を挟んで接着します。
この接着強度は接着剤の特性によって大きく変わります。
瞬間接着剤はほとんどのものに対して接着力を持ちますが
主成分のシアノアクリレートというものが多くの材料に対して
親和性が強いので接着が可能になります。
主成分の名前からわかるように、瞬間接着剤は
アクリル樹脂の一種になります。

瞬間接着剤は物理吸着と
物理的な結合(アンカリング)を主に利用しています。
これは表面のでこぼこに接着剤が入っていって
でこぼこをしっかりと捕まえることでくっついている状態です。
アルテコの中身がなにかわかかりませんが
アルテコの場合も同様だろうと思います。



瞬着が表面のでこぼこに入り込んでいるだけなので
この接着面は衝撃に非常に弱いです。
パーツを落としたら瞬着で付けた部分が取れたという
経験がある人も結構いると思います。
瞬着を使う場合は接着面をしっかりと荒らしていると
接着剤が表面のでこぼこを掴まえやすくなるので
少しは取れにくくなりますよ。
原理的に溶着と違ってとれなくすることは無理ですけれど。

ポリキャップ(PC)を瞬着でつけようとして
失敗したことありませんか?
瞬間接着剤で接着できない代表例がポリエチレンです。
ランナーのどこかににPEと書いてあるとポリエチレン製です。
ポリエチレンは非常に安定な物質で
シアノアクリレートでもくっつくことができません。
PCの固定は機械的固定
(ダボに入れるとかパテで周りを囲むとか)
しないとできません。

これを逆手にとって瞬着やアルテコを
PEやPP(ポリプロピレン)の板の上で硬化させると
硬化後に簡単にとれるので、平面が簡単に作れます。
この方法は、ガンダムスクラッチビルドマニュアル
に書いてあってもう知られた方法ですね。
自分で大発見と思ってたのに、残念。

指に瞬着が付いてなかなか取れない時に
昔はアセトンで手を洗ったりしてました。
危険なので良い子は真似してはいけません。
手がガサガサになります。

上でもちょっと書いていますが
アセトンはシアノアクリレートを溶かします。
どうしても瞬着でつけたパーツを取りたい時は
アセトンで溶かすという
最終最強手段もあります。
勿論、プラも解けてしまいますから
レジン(ウレタン樹脂)とか
金属パーツにしか使えませんね。

ところで瞬間接着剤を表面に塗ってから接着するまでには
何が起こっているのでしょうか。

主成分のシアノアクリレートは水分と反応して
硬化する性質を持っています。
この水分は極少量でいいのが利点です。
瞬間接着剤を塗布するとその瞬間から
空気中の水分やプラの表面に吸着している水分子を
捕まえて硬化が始まります。
接着剤が少量であればそれこそ名前の通りに瞬間的に硬化します。

大量に塗布した場合に効果まで時間がかかるときは
水の中にいれると速く硬化します。
ただし、内部まで水が浸透するのには時間がかかります。
表面だけ硬化してなかは未硬化ということも起きますから
注意してください。

短時間で硬化して接着が終わるというのは
モデラにとって魅力的です。
接着に待ち時間がありませんから
テンションが下がらずに済みます。
しかも、溶着と違ってほとんど体積の減少も起こりませんし、
一度硬化してしまえば、ヒケることがありません。

そしたら、瞬着の欠点は・・・?
欠点が無いなら瞬着でいいじゃないかと思いますね。

欠点その1
上でも述べた通り、衝撃に弱いです。
ガシガシ動かして遊ぶ場合や
力がかかるパーツの接着にはあまり適しません。
ぽろっと取れてしまうことがあります。
こういうときは溶着でがっちり接着したほうが
強度が高くなるので安心です。

欠点その2
最大の欠点と言ってもいいかもしれません。
瞬着を塗った周囲が白くなることがあります。
私はこれが怖くて塗装後にはほとんど使ってません。

なぜ接着した周囲が白くなるのでしょうか??

ビバリーヒルズコップでエディーマーフィーが
犯人の指紋をみるのに瞬間接着剤をつかっているシーンがあります。
犯人の指紋がついたものの横に瞬着を盛って
それを水槽の上に置くと指紋が浮き上がってくるというシーンです。
古い例ですね。おっさんはこれだから・・・。

シアノアクリレートは揮発性です。
水を捕まえて硬化する性質ですから、
指紋(水分が付着している場所)に触れると
そこで硬化が始まります。
つまり、指紋の部分だけに
シアノアクリレートが多く付着するので
指紋が白く浮き上がってくることになります。
シアノアクリレートのなかなか面白い使い方です。



瞬着の白化はこの特性によるものです。
揮発したシアノアクリレートが周囲のパーツ表面の
水分子を捕まえて表面で硬化するから起こります。
これを防ぐには揮発する前に完全硬化させるか
揮発する量を少なくすれば防げます。
ただ、完全に揮発を防ぐことはできないので
極少量の瞬着をつけてから水の中にぶち込むくらいのことをしないと
白化を完全に防ぐことは難しいでしょう。


白化しなくて、異種材料の接着に使える
接着剤ってないの??
って思いますよね。

あるにはありますが、
模型製作では最後の仕上げ以外で使うには
ちょっと厳しいです。

一つは木工ボンドといわれる
酢酸ビニル系の接着剤です。
これはPSには接着強度が小さいので
大きな部品を接着するのには向きません。
しかし、塗装した表面を犯しません。
ですから、最後の仕上げのカーモデルのウインドウや
エアモデルのキャノピーの接着に向いています。
さらにこの接着剤は硬化するとほぼ透明になるので
接着剤が目立たないため、
クリアパーツの接着に向いています。
しかし、硬化したといっても
ゴム状になるため、ヤスリをかけたりできません。
合わせ目処理や基本工作には向いていません。

他にはエポキシ系接着剤といわれるものがあります。
多くの場合、2つのチューブから
A剤B剤を同量出して、混ぜ合わせて使います。
この接着剤はA剤とB剤が化学反応して
硬化します。
エポキシ系は種類も豊富で接着強度も様々です。
構造物に使われたり、ネジの緩み止めに使われたりもします。
種類を選ぶとかなり強力に接着できます。
しかも、瞬着みたいに白化しません。

いいとこ尽くめのようですが、
2液をしっかりと混ぜないと硬化不良が起こって
いつまで経っても接着できなくなります。
しかも一般的にはエポキシ系は硬化時間が1時間単位です。
長いものだと完全硬化まで24時間のものもあります。
溶着よりは速いですが、その間パーツを
しっかりと保持する必要があります。
硬化した後も木工ボンドと同じように
粘弾性を持つ樹脂になるので
ヤスリがかけられません。
なので、基本工作には向いていません。
この接着剤も最後の組み立てで
小さなパーツを接着するのに使うといいです。

私が感じるこの接着剤の最大の欠点は
接着剤の粘度が高いことです。

水あめみたいにどろっとしています。
ということは、接着剤を塗布したあとの
キレが悪いということになります。
少量つけたつもりでも、だら〜とそこから
糸を引いたようになってることがあります。
こうなっても、対処法はあります。
エポキシ系は硬化する前であれば
エナメル溶剤で拭き取ることができます。
あっと思ったらその場ですぐに拭き取れば
なんとかセーフですが、
薄っすらと跡が残ったりすることもあるので
そうならないように使うのが一番です。



今回は接着剤について考えてみました。
それぞれ特性が全く違うのでどこにどの接着剤を使うのが最適なのか
ということを考えて使うと作品がさらにレベルアップすると思います。

製作時間を短縮するために強度は犠牲にして
瞬着を多用して製作するとか
がしがし動かしたいのでプラモ用接着剤でしっかり付けるとか
異種材料の接着なのでしかたなく瞬着を使うとか
クリアパーツなので木工ボンド使ってみようかなとか
いろいろその時にあわせた選択をしてみてください。

ふぅぅ。
長かった。
まともに最後まで読んだ人なんているんでしょうか。
飛ばしてここまで来た人に忠告です。
やめといたほうがいいですよ。
知らなくてもプラモは作れますから。



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